https://novelgame.jp/games/show/10257
実況
https://www.youtube.com/@haoxgame/search?query=夜半
レビュー感想
初対面の女性2人が、ある男性を遺棄する。
その男性は、片方にとっては恋人で、もう片方にとっては配偶者だった。
そんな罪を通して芽生え始める2人の共依存。
それが形作られていくさまを描く、一夜の掌編ストーリー。
まず感じたのは、たった1時間未満のノベルに強烈に引き込まれたことへの衝撃だった。
このサイトではあまり掌編を取り上げないけど、それだけ難しい創作だとも思ってる。
どうしたってできる表現が限られるし、そうなれば当然他の人と内容が被る。
その中で頭一つ抜け出すことは簡単じゃない。
裏を返せば、それでも取り上げたいと思える魅力が本作にはあった。
まずシチュエーションがありそうでない、良い狙い目だと思った。
殺した男性の恋人と配偶者が、犯罪を通して共依存していくなんて話、中々思い付かないのでは。
いや厳密には思い付くけど、普通は早々に没にして、それに似た他のシチュエーションを採用すると思う。
なぜなら一人の男性の恋人と配偶者は、本来なら敵同士だから。
つまりこの物語は、最も手前にある前提を崩して創作してる。
ある意味SFにも通じるような、奇想天外な着想だと思った。
そんな本作は一見すると情緒的に感じられるけど、個人的にはむしろ計算高さを感じた。
良くも悪くも上手で、とにかく徹底して話が最適化されてる。
例えば殺した男性は最初から死んでるし、回想でも一言も台詞がない。
つまり殺される側のヘイトを溜めるシーンがないんだけど、あえて省略してることに上手さを感じた。
他にもトゥルーで自首を明言せず、かといって否定もしないのも本当に上手だ。
そして何より、本作にはミステリーやサスペンスなどの要素が一切ない。
あるのは犯行を終えた後の2人のやり取りだけ。
更にそこで生じる葛藤も変に突飛なものではなく、現実味がある。
例えば犯罪を通した共依存がテーマのノベルには、他にも『NO SALVATION』なんかがあるけど、あれは物語を彩るために様々な要素が盛られてる。
あれがキャラものだとするなら、本作は文学のように感じた。
一方で、こういうのが好きなプレイヤーはそこまで文学を求めてない……とも思う。
本作はプレイヤーよりもコンテストの方を向いてる側面があるかもしれない。
C 65点
コラム
今年は下記の通り、TGF2024参加作を5作も記事にした。
『強キャラ学園』『椿屋敷の亡霊』『夜半に道連れ』『アンティーク・ワンダーランド』『殺し屋リロード』。
例年になく豊作だった印象だけど、中でも強キャラ学園は歴代TGF参加作で最も好きなノベルだ。
ただ内容にノベル批判や同人批判を含んでるため、賞を取れるかは何ともいえません。