Manalta Lia-神話の終わりの魔術師- レビュー感想

プレイ
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レビュー感想



空飛ぶ船を目指し消息を絶った父を捜す、ポストアポカリプスものの中編RPG。

本作はどこか懐かしいRPGな一方で、作者はADVや物書きの心得があり、物語は一筋縄では終わらない。

最近公開された『THE LAST WISH』は、「懐かしくも新しいRPG」を売りにしてるけど、個人的にはManalta Liaにこそ、懐かしくも新しい不易流行のRPGを感じた。






総評としては全体的に薄味でありつつも、奥の方にスパイスを感じるRPGだった。

内容的には結構重めの話なんだけど、キャラクターたちが常にみんな明るく振舞ってて、本来あるシリアスさはすっかり鳴りを潜めてる。


ストーリーは明確な敵がいない代わりに、「なぜ父は消息を絶ったのか」「主人公にだけ見える丘の霊は何者なのか」といった謎があって、RPGとしてはミステリー要素が強め

主人公の空への憧れからスタートした物語が、まさかこんな結末を迎えるとは思いもしなかった。
ある意味夢を失って、その整理がつかないまま、なすがままに終わりを迎えたとも受け取れる。
事件後それぞれの道を歩み始める仲間たちと対比すると、より物悲しい。

本作には主人公の5人家族が登場するんだけど、その家族のやり取りが丁寧に描かれてるのも良かった。
両親が登場するRPG自体珍しいけど、実家やご近所で和気あいあいと過ごすRPGとなるとほぼないのでは。


あとこれは意図したものか分からないけど、本作にはあるミスリードが存在する。
どちらにせよ、プレイ中はずっとそうとしか思えなかった。

だって双子の姉妹の容姿が似てなくて、姉は父親似で妹は母親似。
加えて姉の昔の記憶が曖昧とくれば……。






RPGとしても尖ったところは特にないけど、総じて高水準。

自作の歩行グラや敵グラも、一昔前の携帯ゲーム機のような温和なドット絵だ。

敵が硬めなのと技発動エフェクトが毎回表示されるのは少し気になったけど、大きな欠点はない。

薄味なので尖ったものを求める人には向かないけど、逆に懐古RPGが好きな人にはおすすめ。






C 65点

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コラム

本作の類似作で『祈る星夜の灯緋光』というゲームを以前プレイしたんだけど、ゲーム的にはノベル。

その時「ノベルじゃなければレビューするのに」と思ったんだけど、本作はまさにその理想を具現化したようなゲームだった。

実は最近そんな風に、話は面白いけどゲームじゃなくてレビューを見送ったものが結構あります。
もっといえば、本来ADVやRPGで作るものを、無理やりノベルにしたようなゲームが増えてる気がします。