プレイ
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm24721
レビュー感想
本作は防災SLGというかなり変わったジャンルのゲーム。
実際、プレイ前の第一印象は「狙い目が良い」だったし、内容も気になった。
といいつつも、紹介文を読んで最も興味を惹かれたのは、実のところ別にあった。
それは構成が3部に分かれていて、ゲームシステムがそれぞれ異なること。
つまり「これ、どういうゲームなんだろ」と気になったのが、プレイした最初の動機でした。
実際にプレイしてみると、想像してたよりもずっと面白かったな。
レビューや実況などの前情報が一切なく、変わり種のつもりで始めたので嬉しい誤算でした。
中でも面白かったのが第2部のサバイバル編で、家にいながら大自然を満喫できる。
普段なら苦に感じるようなやり込み要素も、今回は不思議と熱が入って最後まで没頭してしまった。
世界観が完全に現実に徹してるのも、本作の良さをより引き立ててた。
しいて言えば記憶喪失のキャラが出てくるところは現実離れしてるかも。
実はそのせいで非現実が絡んでくるんじゃないかと思いながらプレイしてたけど、全然そんなことなかった。
いずれにせよ非現実なしでこれほどの良作を出されると、この作者の非現実ありの物語も見てみたくなった。
一方で「面白いと言っていいのか……?」という気持ちもありました。
何というかテーマの重さ以上に作者の真剣な姿勢が伝わってきて、尚更そう感じたのかもしれない。
(といいつつ、おふざけも結構ある)
具体的には本作には誇張した展開やドラマ性などが一切存在しない。
ストーリーは一応あるものの、基本的には絶望的な状況が淡々と描写され続けていく。
特に主人公がトリアージ(負傷者に優先順位をつけて、助からない人を切り捨てる行為)をやらなければいけない場面は本当に辛かった。
ちなみにこのゲーム、ヒロインが出てきてギャルゲーとしても完成度が高い。
実は題材が題材なだけに、そう書くのはやめておこうと途中までは思ってたんですが、あの終わり方を見せられたらね。
エンディングが流れ始めた時は「えっ、ここで終わり?」と思わず心の中でつっこんでしまった。
それくらい尻切れトンボな終わり方で、基本的には何も解決してません。
意図は理解できるけど、個人的な意見をいえば、やはり下山までは物語の行く末を見届けたかった。
むしろ他のプレイヤーがあの終わり方を見てどう感じたかが気になったほどです。
ちなみにやり込み要素のコレクションを埋めると後日譚が見れて、そちらの読後感はとても爽やかだった。
人によっては相当刺さるであろう良作でした。
A 80点