籠城勇者 レビュー感想

プレイ
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レビュー感想



ゲーム紹介文を読んで何となくプレイしてみようと思った本作。
それこそ、説明文をほんの数秒さっと流し読みして気になった。

特に「ゲームに勝たなければ、ずっとここにいていいの? 家賃取らない?」という一文に惹かれた。
他にも「味方」のことを「味方陣営」と書いてたり、何かあるように感じた。

結論からいえば、特に後半はその期待したものが期待以上にありました。






実をいうと紹介文に書かれてる「ゲーム」の描写自体は皆無。
幽霊は出るけど閉じ込められる的なホラー展開はないし、勇者も基本戦わない。
ジャンルはある意味日常ものといえるかもしれない。

なので日常ものをあまりやらない身としては正直不安でした。


そう思いつつ進めていると、部外者的な立ち位置のダーリックが登場。
するとその辺りから「ゲーム」のような展開が畳み掛けるように出てきて、それがどれも面白かった

全編通して血生臭さはほぼ全くないが、それでも普通に面白い。



話の構成は選択肢を境に、大きく前半と後半に分かれてる。

前半は現代社会を強く示唆するような内容で、特にブラックに苦しむ人には刺さると思う。
同系統のフリーゲームとしては『自由ナ人生ハ、イカガ?』以来のヒットだった。

後半は段々話のスケールが大きくなっていくんだけど、その割に平和的に事が運んでいくのが微笑ましかった。
勇者ウィロの正体はやや唐突だったけど、思い返せば確かに伏線はあったし、ゲーム紹介文を見た時に感じたある違和感にも納得がいった。






そしてこれは完全に想定外だったが、このゲーム、恋愛部分もかなり良かった。

心が病んでしまった勇者ウィロと、それを優しく保護する幽霊イレイユというのが2人の関係性なんだけど、とにかく分かりみが凄かった

例えばウィロを連れ戻そうと試行錯誤を繰り返すダーリックを、イレイユが正論で言い負かす場面が何度かあるんだけど、それも刺さるではなく分かるだった。

何より正論を並べるだけじゃなくて、ちゃんと実践して結果も出してるからね。


そもそもそういう理屈抜きに、2人の関係性には分かりみしかないと感じた。

例えば同じ幽霊ネタの『花曇と夜空』だったら「仕事でやってる」と感じた時点で他人事になった。

といってもそれが普通で、他人なんだから節々で共感できないところがあって当たり前。
むしろ完全に共感できてしまう本作の方が例外といえる。

何というか、ここまで解像度が高いと、作者の実体験を元にしてるのでは、とすら思ってしまう。



ただここまで言っておいて少し落とすと、正直皆が皆そう感じる訳ではないと思います。
なので人によっては全く引っかからない可能性すらあります。

とはいえ恋愛部分を抜きにしても、話としては色々な展開があるので、そこまで人を選ばない良作です。






B 70点