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レビュー感想
今回取り上げるのは、難易度高めのアクションホラー。
ゲーム性もそれに相応しく、ただ敵から逃げ隠れするだけでなく、様々な攻撃手段やギミックがある。
中でも売りは茉琴の持つ憑依システムで、付喪神を集めるごとに新たな能力が手に入る。
能力の種類も攻撃系から探索補助までバラエティ豊か。
それらを駆使していくことで新たな道が切り開かれていくのも、この手のゲームの醍醐味だ。
感想としてまず言いたいのは、フリーホラーとしての完成度が非常に高かった。
数ヶ月前に『しかくの勿忘草』が出たばかりなのに、こうも立て続けにこのレベルのフリーホラーが出るとは。
完全に予想外だったし、嬉しい誤算だった。
その上で具体的な感想を書くと、とにかく敵の猛攻と相次ぐボス戦に、良い意味で精神を蝕まれた。
つまり本作のホラーは、瞬間的な怖さよりも、じりじりと窮地へと追い詰められていく怖さが強い。
だからこそ手持ちの能力を駆使して、強大なボスを撃破した時の達成感と安堵は、毎回ひとしおだった。
ちなみに本作の操作キャラは4人いて、他の3人にもそれぞれ固有の能力がある。
あくまでメインは茉琴の憑依だけど、それに負けじと全員に活躍の場があるのが良かった。
ストーリーも力作で、中でも見所はラスボスとの頭脳戦や推理合戦。
操作キャラの一人である遙は頭の切れる人物で、ことごとくラスボスの企みを看破していく。
一方のラスボスも他のフリーホラーではあまり見ないような策士で、周到な計画で4人を妨害してくる。
得体の知れない化け物との戦いとはまた違う、一手のミスも許されない理詰めの攻防には白熱したし、迫り来る危機を推理と能力で何度も掻い潜っていく逆転劇は見てて痛快だった。
本作のプレイを通して、オカルト推理はフリーホラーの花形だと改めて感じられたな。
付喪神が単なる能力ではなく、キャラクターとしても積極的に絡んでくるのも良かった。
付喪神も含めると仲間の数はフリーホラーの中でもトップクラスだし、そんな彼らが終始わちゃわちゃしてる感じは、純粋にエンタメとして面白かった。
惜しいと思ったところも挙げると、終盤のあの種明かしはわくわくを裏切られた気持ちにはなった。
だけど本当にないと確定した訳じゃないし、何より大枠の事件はまだ解決してない。
欲をいえば新シナリオとして氷目神村編を追加してほしいです。
評価A 80点
コラム
今年に入って良作フリーホラーが続々と出てきてる。
いくつか挙げると『手を取り合つて友と云う』『りゅうとひなたとてふてふと』『ペトリコール』『ゆきのクローバー』辺りは面白かった。
あえて共通点を見出すなら、過去を引きずらないフリーホラーが増えてきてる。
この「過去を引きずらない」というのは、今後のフリーゲームやインディゲームを見ていく上で重要な指標になってくると思います。