カコとミライ(仮) レビュー感想

プレイ

https://freegame-mugen.jp/adventure/game_14202.html

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レビュー感想



当サイトでは基本的にスパイスや毒のあるゲームを扱ってる。

それに対して本作は、往年のフリーホラーをなぞりつつも、その内容にはスパイスも毒もない。
それこそ「家族向け」タグを付けられるほどマイルドで、個人的な好みの作風からは大きくそれてた。

しかし蓋を開けてみれば、そんな超絶マイルドな本作を取り上げるだけでなく、高評価までしてしまった
まずそのこと自体に驚きだし、何よりこれまでの当たり前が覆されたような気分だった。






本作は閉じ込められた館を探索して脱出するという、フリーホラーお約束の内容。

だけど上記の通りマイルドで、フリーホラーではあってもホラーではないとプレイして思った。
演出はコメディタッチだし、台詞回しはキャラクター的で、ノリはむしろギャグやファンタジーに近い。

しいて言えばミステリーではあって、伏線の仕込みとその回収は見事。
あえて類似作を挙げるなら、『ソウテン鏡事件』や『九十九憑き付喪神』が好きな人にはおすすめ
とはいえ推理要素もあくまで補強であってメインではない。






本作をジャンル付けするなら、間違いなく謎解き脱出ゲームだろう。

そして本作は謎解き脱出ゲームの金字塔
そう評してもいいくらい、他のゲームとは一線を画したパズルの作り込みとプレイアビリティがあった。

物押し、一筆書き、氷の床、動く床、倉庫番……。
それら使い古されたパズルが、この作者が作るだけで面白いパズルへと変わっていく。
それこそ最初の物押しパズルをやった時点で、「あ、この作者パズル作りのセンスある」と思ったほどだ。

一方で歯応えがあるのと同時に、親切さにも抜かりがない。
解くのに20分以上かかる難問はほぼないし、仮にそうなってもヒントがあるので行き詰まる心配もない。
ゲーム内にはメモや電卓があって、ゲーム外の作業を一切必要としないのもありがたかった。






そして本作のもう一つの売りはタイムトラベル。
厳密にはキャラクターではなくアイテム限定だけど、それを駆使した謎解きが面白かった。

具体的には過去軸と未来軸でアイテムを共有しつつ、操作キャラを交代しながら探索を進めていく。
更に過去軸で起こした出来事は、タイムパラドックスによって未来軸を変化させることがある。

そしてこのタイムパラドックスが、ストーリーとゲーム性の両方に関わってくるところが、何より秀逸。
かの『墨染楼閣』でさえ、時間移動が関わってくるのは物語のみで、ゲーム部分はノータッチだった。
……この対比だけでも本作のポテンシャルの高さを伺い知れると思う。






評価A 80点

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コラム

思えば2025年はマイルドな良作が多く出た年になった。
そしてそれらの共通点をあえて名付けるなら、「探索ドラマ」といえるんじゃないかと思った。

いずれにせよ、今年は「華やかな狂気」のマインドをあまり強く感じなかった。
その意味でも作り手の世代が変わってきてると思うし、同時にそれを好意的に受け止めたいとも思う。

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