プレイ
https://www.freem.ne.jp/win/game/25694
レビュー感想
本作は当サイトとしては珍しく、ド直球の王道RPG。
それもやり込めばプレイ時間は40時間を超えるほどの長編だ。
世界観もスチームパンク要素があるとはいえ、あくまでベースはファンタジー。
その意味で個人的な好みとはいえないんだけど、不思議と没入した。
感想としては、本作にはストーリー以上にゲームとしての面白さが詰まってる。
確かに物語も設定は練られてるし、ディティールも細かい。
だけどそれらはあくまでRPGを引き立てるための物語で、特別な尖った要素はない。
所々でアツい展開があったり、感動があったりはするけど、あくまで王道。
一方で肝心の戦闘は、とにかく戦闘バランスが絶妙だった。
色々なRPGをやってきたけど、それこそ相当上位に入るレベル。
やり込み要素も豊富で、まさにゲームとして面白かった。
ちなみに本作には『ThisTimeOnly』という関連作がある。
そしてその関連作と合わせると、プレイしたフリーゲームの中で歴代最高のプレイ時間を叩き出してる。
それだけでも凄いけど、プレイ中に苦行を感じることがほぼなかったことがより凄い。
長編RPGなのに苦行を感じない事実が、何より面白い証拠だ。
その意味でも王道長編RPGが好きな人にこそおすすめしたい傑作だった。
リメイク
2016年に公開された長編RPGが5年の歳月を得てリメイク。
完成度は大幅に上がり、ゲーム的にもプレイしやすくなった。
具体的には「斜め移動、高速化、バックログ」などが追加されて、痒いところに手が届くようになった。
特にバックログはノベル以外では軽視されがちだけど、一度その良さを知ると未実装だと結構厳しい。
できれば制作ツールとしてデフォルトで実装してほしいくらい。
ストーリーもリメイク前は曖昧だった部分が色々と補完されたのが嬉しい。
特に新たに追加されたトゥルーでは、アリスも含めて心残りのない結末を迎えられたし、関連作との繋がりも明確になった。
一方で敵キャラたちによる悪政のシーンも追加されて鬱要素も増えたので、そこら辺は賛否あるかもしれない。
戦闘もリメイク前の本作と関連作が美味しいとこ取りされて、元から絶妙なバランスだったのが更に進化。
演出も相まって歴代最高にアツかった。
評価A 85点
コラム
評価としては非常に高い本作だけど、実は他に類を見ないくらい荒削りでもある。
だけど実際にプレイして、それが気になったかといえば、ほぼ全く気にならなかった。
そしてそれにはちゃんと理由がある。
要は全体的に荒削りだから、そもそも荒削りでもプレイヤーがそれをエラーとして認識しない。
例えば細部の1ドットまで洗練されたような作品をプレイしてる時に、急に荒削りな場面が出てきたら、恐らく多くの人ががっかりするはず。
その意味では荒削りな作風で市民権を得るのも、制作する側のやり方としては一つの手だと思います。