プレイ
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レビュー感想
英題が「To the Stars」なことからも分かる通り、本作は『To the Moon』のリスペクト作品。
といっても一部を除いてほぼ別物で、あえていえばフリーホラー版『To the Moon』だった。
初っ端から結論を言ってしまうと、『星に駆ける』は今年のマイベストゲームになった。
短編ながらプレイ時間が1時間以内のゲームとして評価すれば、ほぼ満点でした。
特に評価が高かったのは、圧倒的に演出。
正直ストーリーや設定は二番煎じどころか、何番煎じかと思うくらいありきたりだけど、それがどうでもよくなるくらい演出力が凄すぎる。
確かに過去作のホラーゲームの『祟り』も、演出のレベルが抜きん出てて異常に怖かった。
それを考えれば本作の完成度の高さにも納得。
一方で本作が力を入れてる演出は恐怖ではなく感動。
終盤は息もつかせぬ怒涛の展開続きで、久々に涙が止まらなくなった。
こんなに泣けたのは、それこそ『四ツ目神』以来だ。
思えば四ツ目神もストーリーや設定はよくあるものだった。
それをここまで面白くできるのは、どちらも作者に他を圧倒するだけの力量があるからこそ。
その意味では、本作に台詞がないのも間違いなく効果的だった。
面白いのは文字の一切ないゲームは他にも山ほどあるけど、このゲームから省かれてるのは台詞だけで、地の文や説明文は普通にあるんだよね。
上手く説明できないけど、それが全然中途半端じゃなくて、むしろ絶妙に心地良かった。
何というか、夢を見て無駄に感動することがたまにあるけど、台詞だけがない感覚が凄くそれに近かった。
数少ない文章も印象に残るものばかりだ。
「本当は分かってた」を出すタイミングは絶妙で、感情が最高潮に達した。
「幸せの魔法」という言葉選びと使い方もセンスがあって好きで、刺さったという意味ではそこがピーク。
作者が海外の人とはとても思えないけど、むしろ逆にそれが良かったすらあるかも。
感情移入もとてもしやすくて、久々に主人公にシンクロできた。
だけどこれも台詞がないことで、明らかにシンクロしやすくなってるように感じたな。
作者の力量によってシンクロさせて頂いた部分もあるだろうね。
アザラシも可愛すぎて、自分としては珍しく、守りたい存在として見てしまった。
ラストは〇〇で終わった方が美しいだけに、あえて外してきたのは少し意外。
だけどシンクロしてたのもあってか、純粋にこの結末を良かったと思えた。
客観的にもご都合とは全く思わなかったし、むしろこっちの方が妙な現実味を感じたくらい。
とにかくこのゲームは、私にとってあまりにもど真ん中でした。
A 85点