https://www.freem.ne.jp/win/game/3793
レビュー感想
人間と亜人の対立を描く中編RPG。
内容は重めで、王道とは一味違った独自のテイストが売りのRPGだ。
ちなみに王道ではないとした理由の一つは舞台。
世界規模のRPGが多い中、本作は限られた地域にスポットを当てた小規模な物語だ。
今回は旧作レビューだけど、なんと公開されたのは10年以上前。
その上で書くと、当時は無駄に壮大な王道RPGがあふれ返ってた。
「無駄に」と付けたのは、実際に世界規模の話にする必要を感じないRPGをいくつもプレイしたから。
後出しで「実はラスボスを倒さないと世界が終わる」と言ってくるゲームも珍しくなかった。
だからこそ、小規模の話ながら引き込まれるシナリオのトルバドゥールには強い衝撃を受けた。
同時に「個人制作のRPGってこういうことなんだ」って思った。
具体的に良かった点は、やはりシナリオ。
当サイトでも度々登場する「小説が元になってるゲーム」で、例にもれず高品質。
同時に作者の感性も良い意味で反映されてた。
分かりやすく伝えるために類似作を挙げると、『終わらない冬に笑顔の花を』のような空気感があった。
具体的には登場人物がみんな良い人にもかかわらず、不条理が彼らを襲う。
そんな光と影のコントラストが色濃く垣間見える物語だった。
唯一難点を挙げると、回想シーンだけはこのゲームの空気感と毛色が違いすぎて残念でした。
そしてシナリオ以外も丁寧に作り込まれてる。
戦闘は楽器を題材にした独自のシステムがあるのが良かったし、物語にもマッチしてた。
といってもこちゃごちゃした面倒なシステムではないし、難易度も丁度良かった。
グラフィックや音楽は今の基準で考えると見劣りするけど、当時としては高品質だったと思う。
総じて今プレイしても面白い、おすすめのRPG。
A 80点
コラム
個人的な話をすると、実は一時期フリーゲームから離れてた時期があった。
そこから戻ってくる切っ掛けを作ったゲームこそが、実はこのトルバドゥール。
その意味で本作には個人的にも思い入れがあるし、それほど感銘を受けたゲームでもあった。