プレイ
https://www.freem.ne.jp/win/game/28163
実況
https://www.youtube.com/@miyosigu/search?query=NULL
レビュー感想
最初に書くと、本作はネタバレを見ずにプレイしてほしい。
ネタバレを気にしない私ですら、強くそう思いました。
もっといえば、これは半分冗談で書くと、人によってはクリア後もネタバレを見ない方がいいかもしれません。
何ならこの記事もレビューや実況を見ない状態で書いてます。
実はフリーゲームのレビューや実況の華は、大作よりも、むしろこういった小粒の良作だと思ってます。
今回取り上げる『私はNULLです』は小粒も小粒。
プレイ時間は1時間程度の短編で、マップも自室内だけで全て完結する。
ゲーム的にもよくある脱出ゲームで、それもあって当初は記事にしようとすら全く思ってなかった。
だけどその考えも結末を見て変わった。
実は普段物語を評価する時、個人的には主に序盤や中盤を重視してて、逆に終盤はあまり重視してない。
だけど本作では明確に結末を見たことで評価が180度一変した。
正直その直前までは「そんなオチか……」みたいな気持ちでプレイしてたんだけど、それだけに感情の揺り戻しは相当凄かった。
あまりの衝撃に読了後の余韻も強く長く残り続けた。
ゲームとしては小粒なので評価自体は伸び悩むものの、本作には評価だけでは測れない、それ以上の価値が間違いなくあります。
以下ネタバレ注意。
ネタバレ
以前グリッチ・キャスケットの記事で「逆張りするならあえて感が必要」と書いたけど、本作には逆張りをするあえて感がちゃんとあった。
何より面白いのは、恐らく人によっては逆張りをしてることにすら気付かず、誤読するところ。
私の場合は「これミスリードだ」と勘付いた数秒後に伏字が出て、作者が意図的にしてることに気付けました。
落として上げるのも含めて、これを狙ってやってるなら相当上手い。
更に作者はプレイヤーが誤読するのを予め想定した上で、それにすら示唆を込めてるんじゃないかと個人的には感じた。
しかも作中でその示唆……というか現状についても堂々と問題提起されてる。
だけど恐らくそれでもミスリードだと気付かない人はいそうだ。
そしてむしろ引っかかる人がいることによって、『私はNULLです』という創作は本当の意味で完成するんじゃないかとすら思えました。
その意味で本作はプレイヤーを別々の並行世界へいざなうメタものといえるかもしれません。
C 60点