人間裏街道 レビュー感想

プレイ

https://www.freem.ne.jp/win/game/30114

実況
https://www.youtube.com/playlist?list=PLMkQo-m4xY8iBzDmLRBt31MkwyMrSaDoI

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レビュー感想



BANされそうで少し恐い……。

そう思いつつ取り上げる本作のテーマは、自殺。
実況でも伏字にする人がいるくらい、扱いの難しい内容だ。

本作はその上で、当事者やその周囲の人にも配慮された価値ある傑作に感じた。

だけどそんな理屈抜きに、純粋に紹介したい気持ちが上回ったことが、本作を取り上げた最たる理由だ。






内容は夏休み期間中、人間裏街道と呼ばれる異世界で生活するスローライフもの。
そして主人公は夏休みの終わりに自殺を計画してる学生だ。

自殺をテーマにした創作で非現実を取り入れてるんだけど、まずそれが珍しいと思った。


中にはこういった重いテーマを扱う場合には、非現実はかえって蛇足と考える人もいるかもしれない。
だけど非現実があることで、テーマの本質をより鮮烈に浮かび上がらせることもある。
本作はまさにそのパターンだった。


同時にテーマを重くしすぎない効果もある。
どんなに刺さる内容でも、躊躇されてプレイされなければ相手に刺さりようがない。

実際、これほど実況された自殺がテーマのフリーゲームは他にほぼないんじゃないか。
例えBANされるリスクがあっても、それでもプレイしたいと思わせてる何よりの証拠だ。






ゲーム的にはホラー要素のあるスローライフもので、まさにフリーゲーム版『ぼくのなつやすみ』だ。

今までは『妖怪変幻』がその立ち位置にいたけど、それ以上にしっくりきた。


システム的に特筆すべき点は、裏街道の住民と仲良くしすぎないことがトゥルーへの条件だったこと。

つまりテーマを無視してゲーム的なコンプを目指すだけではクリアできない

まさに物語とゲームギミックとがぴたりと重なった、秀逸なシステムだった。






それとこのゲーム、グラフィックの評価が久々の満点でした。

何というか、単純な絵の上手さでいえば満点は大袈裟にも思う。
だけどキャラクター達の生き生きとした表情を見てたら、不思議と心が洗われたんだよね。

色々なゲームをやってきたけど、絵の力で泣かされたのは初めての体験でした。


中でも生きることを宣言した彼の絵は眩しくて最高でした。

もしかしたらマイベストスチルかも。






A 80点

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コラム

こういう考察の仕方はあまり良くないかもしれないけど、本作をプレイしたことで『横断注意』のある部分の見方が変わった。

察しの良い人なら分かる通り、朝日が死後に言った「夜月になりたかった」の真意だ。

当時は変に邪推するのも良くないと思って、あれはただのホラー演出だと考えてた。
(ホラーモドキが話題になってたのも影響したかも)

だけど人間裏街道をプレイしたことで、驚くほどあっさりと本心派に転向しました。


……実際のところ「確かになぁ」とも思います。

それこそフリーゲームとインディゲームとの関係性なんて、まさにそうですし。