プレイ
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実況
https://www.youtube.com/playlist?list=PL_P_LqURxB4MJstwmc34qEh-9BUe8jGqG
https://www.youtube.com/playlist?list=PLMkQo-m4xY8gNKC59OlCQbpxebDmfWkdv
レビュー感想
皐月の夢制作の時間ものミステリー。
元々フリーゲームだったものが、Steam版となって新たにリリースされた。
今回は小道具を使った物語で、タイトルでもあるミライカガミを使って眠ると、なんと10年後の自分にタイムリープしてしまう。
これだけでも十分惹かれる設定だが、本作はそんな小道具のポテンシャルを最大限に引き出したプロットが素晴らしかった。
それだけに今回の物語はできればネタバレを見ずにプレイしてほしいと、普段ネタバレをあまり気にしない私ですら思ったほどです。
以下ネタバレ注意。
ネタバレ
……いやあ、見事にミスリードに騙された。
最初は作者の意図通り主人公が犯人だと思ってました。
そして10年前の自分が余計なことをしたせいでせっかくの完全犯罪が崩れる、なんてブラックなオチなんだろうなと思いながらプレイしてた。
むしろそれ以上のオチは考えられず、それでいいとすら思ってしまった。
だからこそ、まさか主人公が犯人ではない結末に感動することになるとは思ってもいなかった。
確かに途中から犯人は別にいる雰囲気は出てくるものの、初見では最後の最後まで「いつひっくり返されるか分からない」不安がずっと付きまとってた。
それだけにラストの感動は、その分膨れ上がったんだろうな。
ミスリードの種明かしも最後にきっちりしてるし、何より最後まで主人公に「もしかして未来の自分が……」という、ありがちなミスリード用の台詞を決して言わせなかったのは本当ににくい演出だった。
つまりあえてそれを言わせないことで、2人の友情の深さを表現してるんだよね。
ギミックの扱いも非常に上手かった。
本作は未来へ行きっぱなしではなく、現在と未来を交互に行き来する。
そして現代に戻った際の行動で未来を変えていく。
つまり本作では事件を解決してない途中の段階でも未来を変えることができるんだよね。
これが意外とプレイ体験としては大きくて、例えストーリーの大筋に影響しない些細な変化でも、「自分の手で未来が変化した」と感じられる瞬間には小さな喜びがあった。
更に今回のギミックにはもう一つ、実は10年後の自分も10年前に戻る効果があり、その設定にもやはり魅力があった。
ただなぜかそうならずに眠り続ける場合もあり、結果的にはミスリードのために付け足した感が強く、消化不良に終わったのはやや残念。
……とこのミライカガミ、ミステリーとギミックが見事に噛み合って、更にはギャグまで面白い良作なんですが、一つだけ明確な難点があります。
それは……主人公がとても16歳には見えない。
下手すれば26歳でも若いと思えるほどキャラが老けてる。
例えば「老後はあんた達が面倒みてくれなきゃ困る」という母親に対して、「犯人はあの鬼○バなんじゃないの!?」とキレるところまでは凄く良かったんだけど、その後一気に老けて「ちょっと過剰なだけで私を心配してくれてる」とあっさり納得するところはさすがにどうかと思いました。
それこそ例えば同じミステリーの『貴方の価値を教えてくれ』のように、もし主人公が将来への不安を抱く若者として刺さっていればもっと高評価だっただけに、その点は非常に惜しかったです。
B 75点