https://www.freem.ne.jp/win/game/30169
レビュー感想
このゲームは何というか、率直に言ってきたない物語だった。
主人公は勇者達と共に強敵に立ち向かうんだけど、そこに少年漫画のような輝かしさはない。
綺麗なものとは根本的に無縁の創作だ。
……というより、それ以前に登場人物にまともなやつがほとんどいない。
基本的にはストーリーはシリアスなバカゲーという認識でプレイするのがいいかもしれません。
ゲームのジャンルは久々のRPG。
システム面で良いと思ったのは、一部の場面を除いて実際には同行してないキャラも戦闘で使えるところ。
ストーリー上は仲間と離れ離れになってても、ゲーム的には同行してることになってる。
それに関する説明も一切なくて、完全にメタとして割り切ってるのが潔かった。
何より「常に仲間と共に行動する」というRPGのストーリー制限が取り払われたのは画期的だ。
いっそ他のRPGも全部このシステムでいいんじゃないかと思ったほどです。
完成度は色物と侮れないくらい高い。
イベントシーンではキャラがコミカルに動き回ったり、色々な画像が表示されたりして見てて飽きない。
実際、飽きずに最後までプレイできたのはそれが大きかった。
肝心のギャグは面白いネタもある一方で、薄ら寒いものも結構ある。
正直、ギャグ目当てでプレイするのはおすすめしません。
ストーリーも意外なくらい作り込まれてる。
舞台は日本なんだけど、むしろ勇者達が転移してくる逆異世界ものなのが良かった。
各キャラの背景もそれぞれあって、話が進むにつれて因縁がどんどん明かされていく。
10年間たまり続けた憎悪が、せきを切ったように復讐劇へと転じていくさまは、本作が色物枠であることを忘れそうになるほどだった。
気になったところは、キャラの言動が絶妙にずれてること。
言葉にするのが難しいけど、刺さりそうで全く刺さらない嫌な感じがあった。
特にルキウスや不審者は一見すると刺さりそうなキャラなのに、実際には驚くほど全く刺さらなかった。
本作のルキウスと近い立ち位置にいる、『夜底奇劇・星空物語』のブライトには刺さったし感情移入もしたのに、本当に不思議だ。
そんなルキウスを執拗にアンチしてる主人公達もなんかずれてる。
何だかんだで一番感情移入できたのは、ラスボス戦すら遠慮なく欠場する夜子だったな。
不審者も死ぬのが恐いなら、夜子くらい全力で回避すればいいのに。
C 65点