肉弾怪奇譚 レビュー感想

プレイ
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レビュー感想



本作は数年前から連載が始まった現代RPGで、ジャンル的にも完結してからプレイしようと思ってた。

ところが少し前に作者が制作中止を宣言してたので、この機会にプレイしてみた。

ちなみに宿敵の教祖ともラスボスとして戦うし、打ち切りといってもちゃんと区切りの良いところで終わるので、そこは心配不要。

グラフィックだけでなく音楽も自作してて、短編RPGとしては十分おすすめできる完成度です。






結論からいうと、この肉弾怪奇譚、相当心に刺さりました。

グラフィックに独自性があったり、RPGでは珍しく舞台が日本だったので、以前から気にはなってたとはいえ、ここまで面白いのは予想外。


所謂ノンフィールドRPGでノベル寄りのゲームなんだけど、まず文章に引き込まれた。

文体は少し古めかしい硬派な感じかと思えば、いきなり漫画やSNSのようなノリになったりもして、ゲームでしか表現できないような感じが面白かった。

何よりふざけててもネタっぽさやわざとらしさを感じなくて、何気ない日常の断片を見てるみたいだった。


だけど一番刺さったのは、登場する霊の一人一人に、物語のテーマがメタファーとして散りばめられてること。

具体的には主人公とは何の接点もない霊達が、間接的に主人公の繊細な心理を写し出してるんだよね。
そしてその写し出したものがプレイヤーを深く抉ってくる。

以前『貴方の価値を教えてくれ』の記事で「他作品の追随を許さないほど、主人公とのシンクロ率が高い」と書いたけど、もしかしたらそれに追随するレベルかも。

ただ少年漫画並みに勇敢なところもあるので、そこら辺は主人公だなって思ってしまった。

いずれにせよ、人によってはド直球で泣けるシナリオです。
個人的にも「バットの少年」で泣かされました。






戦闘の方はどちらかというとパズル寄りで、かなり人を選びそうだ。
例えるならキミガシネ最終章の戦闘を更に難しくしたような感じだった。

だけどストーリーの続きを読みたい気持ちや、生き残りたい気持ちで、一部のボスには何度も負けながらも、その度に何度も再挑戦した。

決して戦闘バランスが悪い訳ではないし、はまる人ははまるだろう。

とはいえ難易度的にRPGが苦手な人向けの救済はあっていいかも。


自作の戦闘曲が相当良かったのも、盛り上がる要因だった。

戦闘曲らしからぬ軽快なリズムがありつつも、しっかりと戦闘曲してるし、ホラーRPGらしく童謡のアレンジが仕込まれてるのもアツい。

個人的にはフリゲRPGの戦闘曲の中でも相当な上位に入る神曲でした。






ちなみに、自作曲があまりに良かったので、作者のYouTubeチャンネルにある他の曲も視聴してみた。

そうしたらその中にも良曲が多い多い。

しかもMVの動画制作のセンスまであって、相当なポテンシャルの高さを感じました。

この作者に唯一足りないものがあるとすれば、ゲームを完成させる能力だけじゃないかと思います。






A 85点